依存症とヨガ

今日はまじめなお話。
日本メディカル協会で医療ヨガを普及する研究を行っています。今日は、「依存症とヨガ」について一部リサーチしたことをご紹介します。

アメリカの薬物依存症と治療としてのヨガ

National Survey on Drug Use and Health (NSUDH)の報告によると、2014年、アメリカにおいて12歳以上で薬物依存症を患う人数は、約2,140万人と推定されている。こうした依存症の治療方法は多く存在するが、American Addiction Centersは、薬物依存症の治療プログラムにヨガを取り入れたケースが増えていると報告している。[1]
薬物依存症とヨガがどのように関連しているのか。
ストレスや不安、鬱の症状は、薬物を止めたときの副作用として知られ、ヨガはこの心理状態を改善するのに役立つといわれている。実際に、Harvard Medical Schoolは、様々な研究からメディテーション(瞑想)やリラックス、運動などを伴うヨガがストレス、不安や鬱の緩和に役立つ可能性があるという情報を公開している。[2]

ヨガのシステマティックレビュー

現在、依存症治療を目的としたとしたヨガのシステマティックレビューは少ない。そうした中から、Yoga for Addiction(依存症のためのヨガ)として、シルテマティックレビューを分析した研究を紹介したい。
Posadzki氏、Choi氏、Lee氏、Ernst氏の研究では、ヨガを様々な依存症の対処に取り入れたランダム比較試験(Randomized clinical trials)を分析した。RCTとは、評価の偏りを避け、客観的に治療効果を評価することを目的とした研究試験の方法で、医療分野ではよく用いられている。
研究では、8つのRCTを分析対象とし、7つのRCTでヨガ(ハタヨガ、アイアンガーヨガ、ニドラヨガ、プラナーヤマ、ヴィンヤサヨガと認知行動セラピー組み合わせたプログラム)を取り入れたグループにおいて、ヨガなしの集団と比較し、依存症に対して良好な効果が見られた。RCTの一例(Marefatの研究)では、60分週3回のヨガを5週間行った24人(男性)の薬物依存症患者において精神疾患(うつや不安)にどのように影響するかを測定した。ヨガを行ったグループでは、非常に高い改善レベルが見られ(Beck Depression Inventory; p=0.048 / State-trait Anxiety Inventory; p=0.023)、ヨガが薬物依存症患者の精神状態に良い効果があると結論づけた。

Posadzki氏の研究では、試験後のフォローアップの有無や期間、被験者の人種など試験方法に偏りがあり、ヨガの依存症の効果を立証するためには大規模のRCTが必要であると主張している。しかし、研究結果としては、依存症のためのヨガはよい兆候が見られると結論づけている。[3]日本でも、一刻も早くヨガを依存症治療に役立てるために、だれもが参加しやすいヨガのコミュニティをさらに広げ、医療現場で実施しやすいシステムを構築する必要があるであろう。

Reference
1: Using Yoga in Recovery
American Addiction Centers. (February 3, 2020)
2: Yoga for anxiety and depression
Harvard Health Publishing. (May 9, 2018)
3: Posadzki, P., Choi, J., Lee, M.S., and Ernst, E. (2014) Yoga for addictions: a systematic review of randomized clinical trials.
Focus on Alternative and Complementary Theories. Royal Pharmaceutical Society.

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Sirsasanaの効果とやり方

ヨガのアーサナで、王様のポーズと言われているシールシャーサ(ヘッドスタンディング)。腕で頭を支え、逆立ちするポーズは、はじめは圧倒されますが、やり方をおさえるとそう難しくなく、健康への効果が大いに期待できます。先月のクラスから、皆さんにこのポーズに挑戦してもらっています。「最初は怖いけど、意外と大丈夫」、「頭がすっきりした」というお声が聞けました。今日は、ポーズの復習もかねて、はじめのシールシャーサをステップごとに紹介します。

Sirsasana 健康への効果

感情や行動をコントロールし、感覚を司る、最も大切な部位である脳。シールシャーサを普段のヨガに取り入れることで、脳細胞へ健康な血流が送られる。その結果、脳を若く保ち、思考力が高まり、考えが明確になる。睡眠障害や記憶障害を持つ患者が正しいアーサナを規則的に取り入れたことで、エネルギーが高まり、効果が見られた。また、肺を強くし、風邪や咳、扁桃炎、どうきなどを緩和する。(引用:B.K.S. Iyengar, Light on Yoga, p.189-190より)


何という万能薬!これは、症状の改善にも、健康維持にも試したいですね。

シールシャーサ step by step

  • 初めての方は、壁を前に練習しましょう。首に負担のかかるアーサナなので、首が弱い方は、避けましょう。
    三つ折りにしたマットもしくはブランケットを用意し、手を組む。この時、ぎゅっと組まず、両方の親指の爪が重なる程度に組む
  • 腕は肩幅くらいに保ち、小指から肘のライン(前腕)がマットと垂直になるようにする。肘が開きすぎないように注意する
  • 頭の頂点をマットに置く。この時、前腕
  • でしっかりとマットを押す。腕が安定し、首を長く保つことができます
  • ダウンワードドッグ(下向きの犬のポーズ)のように、お尻を高く。つま先立って、お尻をさらに高く、頭の方に歩く。つま先が地面から離れるくらいまで前に進む。この時、お尻の高さはキープしておく。
  • 片足を床から離し、高く上げたら、逆の足をゆっくり離す。ここは勢いをつけないことに注意する。片足で上がれるようになったら、両足を揃えてあがれるように練習しましょう。この時、両足は伸ばしたまま、ここでは腹筋を使います。(下のビデオでは、片足バージョンです)
  • 両足を上げることができたら、上腕をマットに押し付け、骨盤を床からもっと遠くに離してみる。足の指先を高く伸ばす。

  • シールシャーサのビデオはこちらからご覧ください


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